「大阪の家庭には、たいていたこ焼き器がある」。この説がホントかどうかは、世代や地域によって違うのだろうが、傾向としてひとつ言えるのは、下町にはそういう家庭は案外少ないということ。理由は、わざわざ家で焼くよりも近所のたこ焼き屋、それも屋台風でなく、中でも食べられるようなお店で食べたり買って帰ったりしたほうが、はるかにうまいからだ。家族みんなでワイワイ言いながらのファミリーたこ焼き大会も楽しいものだが、おいしいと思えるたこ焼き屋さんが近所にある幸せは、ディープな大阪人にとっては、何ものにも代えがたい価値なのである。  

  ■大阪が誇るたこ焼きの定義とは??
まずは一般的な「たこ焼き」について勉強しよう。『広辞苑』(岩波書店、第四版)を引用すると、「水に溶いた小麦粉に、刻んだ蛸・乾しえび・ねぎ・紅しょうがなどを加え、鉄製の型に流し込んで、球形に焼き上げる食物。大阪から全国に広まる」とある。
しかし残念なことに、『広辞苑』の記述どおりにたこ焼きを作ったとしても、決してうまいものになるとは限らない。素材にしろ作り方にしろ、既成の概念にとらわれない、その店その店の試行錯誤があるからこそ、全国に誇れる“大阪の味”が生きるのだ。

 

  ■つまようじが、1本でなく2本つく理由
「ハイ、お待っとうさん!」とたこ焼きを手渡されるとき、たいてい端っこにつまようじが刺さっている。しかも、1本ではなく2本あるのは何故だろうか。
例えば、ホカ弁やコンビニ弁当の割り箸袋に添えてあるものなら、単に食後の歯のそうじ用と考えていいだろう。だが、たこ焼きに付くつまようじは大きな意味を持つ。1本だとクルクルまわって安定感の悪いたこ焼きも、2本刺すことでしっかり固定できる。いわば、お箸のミニチュア版といったところなのだ。
アツアツほやほやのたこ焼きを、1本ですんなり口まで運ぶことは決して容易なことではなく、単なる思いつきで刺しているのではないことを覚えておきたい。

 

  ■たこ焼きに食べ時や食べ方はいっさいナシ!
最後に、たこ焼きは1日のうち、いつ食べれば一番おいしく感じるか。
子供ならおやつタイム、主婦なら買い物ついでに、そしてサラリーマンやOL なら仕事の合間の息抜きにと、一般的に昼3〜5時の間が最も多いのではなかろうか。が、そんな決まりはまったくない。3度のご飯時に食べようと、一杯飲んだあとの仕上げとして深夜に食べようと、いつ食べてもたこ焼きはウマイのである。もちろん食べ方だって自由。縛られないのが大きな魅力と言える。

 
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