■最高級の小豆を8時間かけて煮込む

法善寺横丁の代名詞である「めおとぜんざい」は、法善寺境内の藤棚の下で、浄瑠璃語りの竹本繁太夫が副業としてはじめた「めおうとぜんざい」がはじまりといわれている。一人前をひと椀にもらず、ふたつにわけて出したのがルーツといわれている。  
小説「夫婦善哉」で柳吉が、「昔何とか太夫ちふ浄瑠璃のお師匠はんがひらいた店でな、一杯山盛りにするより、ちょっとずつ二杯にする方がぎょうさん入っているやうに見えるやろ、そこをうまいこと考えよったのや」と蝶子に説明するように、同じ一人前でも二杯に分けた方がたくさんあるように見えて、得した気分になれるという、いかにも大阪らしい創意により、夫婦善哉の原型がつくられたのである。
明治41年に、初代店主により現在のお店が創業。カップルで食べると円満になれるという趣向で話題を呼んだ。もちろん、趣向をこらしたアイデアばかりでなく、ぜんざいの味そのものでも、「夫婦善哉」は大阪庶民の心をとらえた。厳選した素材と、手のこんだ調理方法が味の秘密だ。
高級小豆の代名詞、丹波大納言を使用し、約8時間もかけて昔ながらの釜で炊いたのち、約1日寝かせる。すると、小豆に砂糖が程良く浸透して、しっかりした甘味に加え、一粒一粒に張りとコクが生まれるのである。  
手間暇がかかる料理だけに、昔からこのお店のメニューは、ぜんざい一品のみ。だから、注文せずとも席につくだけで、料理が出てくるのである。  
気になるカロリーは、1人前で278kcalとそれほど高くないので、ダイエットが気になるレディも、安心して召し上がってください。
 
 

  ■三段階に分けて温めていく気配り

厨房でたっぷり時間をかけて仕込まれたぜんざいは、店内の調理スペースに運ばれ、注文があるとすぐさま温めてテーブルに運ばれるわけだが、ただ鍋で煮るだけではない。
まずは低温の鍋に入れられ、徐々に加熱。そのあと、隣に並ぶ中温の鍋、高温の鍋と段階をおって三段階に温めていき、最後に雪平鍋で熱々にする。そうすることで、小豆の形や甘味を損なうことなく、常に最高の品質を保った状態で提供できるのである。
 

  ■口直しに大阪名物の塩昆布

ぜんざいに必ずついてくるのが、特製の塩昆布。口直しにかじりながら食べると、ぜんざいの甘味が引き立って、最後まで美味しくいただける。
この塩昆布も浪花の名物のひとつで、映画「夫婦善哉」では、主人公の柳吉が、嬉しそうに昆布の佃煮を炊いているシーンが出てくる。浪花の昆布文化は、こんなところにも表れている。
もうひとつ忘れてならないのが、お椀のなかにポッカリと浮かぶ白玉だ。約30分もプロの手で丹念に練られるそうで、口に運ぶと、余りの柔らかさに舌が感激する
 

  ■小粋なユニフォームもいい感じ

店員さんの制服は、藍を基調にした和装で小粋。チャキチャキしたお姉さんたちの気持ちの良い接客といい、老舗らしく浪花の情緒をほどよく演出してくれるところがうれしい。
店奥であらかじめ仕込んでおいたぜんざいを、もう一度店内のカウンターで温めるというシステムを採用しているので、料理は、ほとんど待たせることなく、素早くテーブルに運ばれてくる。こういうところも、イラチな大阪人に愛されてきた所以かもしれない。
 
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