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大阪弁では、アメ玉やキャンディーのことを、なぜか「アメちゃん」と"ちゃん"づけをします。東京弁だと、「アメ」とか「アメ玉」ときっぱり言いますが、関西では、大の男やええ歳をしたオバチャンまでが、「アメちゃん、ちょうだい」といった言い方をします。このワケ、どなたか知りませんか?
関西地方では、なぜ、アメのことを「アメちゃん」と言うようになったのか?
同じような傾向として、大阪や関西地方では、食品のうしろに"さん"づけをすることがよくあります。しかも、頭には"お"までつけたりします。習慣的にそんなふうに呼んでいる食品には、次のようなものがありました。
<大阪弁> ←→ <標準語>
おいなりさん ←→ いなり寿司
お揚げさん ←→ 薄揚げ、油揚げ
お豆さん ←→ 豆
おかいさん ←→ お粥
こうして見ると、大豆に関連する食品は、とても丁寧に呼ばれていることがわかります。おいなりさんとお揚げさんについては、やはり、稲荷神社に対する信仰心から、そんなふうに丁寧に呼んでいるのかもしれません。
お豆さんという呼び方も、大阪や関西方面ではごく一般的に使われていて、これにはよくできた笑い話があります。とある幼稚園で節分の豆まきをしたのですが、一人の園児(太郎という名前にしておきます)が器をひっくりかえして豆をこぼしてしまいました。それを見ていた先生がすかさず、「これ、太郎!早くお豆さんを拾いなさい!」としかったとか。関西人は、子供は呼び捨てにしても、豆にはさんづけをする、というジョークですね。
最後にある「おかいさん」というのは「お粥」のことです。「おかゆさん」とは言わず、ちょっとなまって「おかいさん」になっているところがポイントです。
子供の頃、風邪をひいて寝込んだりすると、母親が「ちゃんと寝とくんやで。いま、あったかいおかいさん、つくったげるさかいな」とやさしく言ってくれたりしたものです。だから大阪人にとって「おかいさん」という響きは、あのお米の香りとともに、とてもやさしくて、あったかいイメージをともなっています。
そういえば、大阪や関西では、"お"をつける食品が実に多いのです。思いつくままに"お"つき食品関連語をあげてみると--。
お豆腐、お味噌、おみそ汁、お吸い物、おなす、お醤油、お肉、おいも、おねぎ、お刺身、お魚、お茶漬け、おうどん、おそば、おつゆ、お茶碗、お湯のみ、お野菜、お餅、お団子…。
もちろんこの中には、全国どこでも共通語的になっている呼称もあるかもしれませんが、とにかく大阪の人たちは、食べ物の前に自然に「お」をつけて呼んでいることが多いのです。
頭に丁寧語の「お」(御)をつけるのは、宮中の女性たちがつくりあげた「女房言葉」の影響だという説を聞いたことがあります。ながきにわたり都であった京を近くに持つ大阪では、この女房言葉の影響を、より強く受けてきたのかもしれません。
一方の、「さん」をつける風習は、町人文化の街、大阪の特徴をよく表しています。武家社会のように、家格で人の値打ちが決まるのではなく、経済社会においては、みんな平等の人間であるというのが、大阪人の合理主義。目上の人に対しても、「さま」では仰々しいし、かといって礼を失してはいかんということで「さん」づけ文化になったと言われています。
だから、豊臣秀吉も「太閤さん」だし、偉い実業家でも「幸之助はん」とか「一三はん」といったはんづけです。大阪人のさんづけ、はんづけは、敬愛の情を表していることが多く、神仏でも「えべっさん」と、さんづけで呼んでしまうほど。だから、日頃からお世話になっている食品には、感謝と敬愛をこめて「さん」をつけているのかもしれません。
ちなみに京都では、ご近所さんほどさんづけをして、ちょっと離れると、たとえ老舗や神社仏閣でも、一転して呼び捨てにする傾向があるとの噂(ホンマかいな?)。これは京都人特有(?)の親近感と敬愛の念もさることながら、ご近所さんを「さん」づけしていないと、裏で何をいわれるかわからん、という世渡り上手の表れだとか。同じ関西でもこんなふうに、生活文化や食文化というのは、大きな違いがあります。 |
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